東京地方裁判所 昭和45年(特わ)100号 判決 1975年3月26日
被告人
本店所在地
東京都世田谷区成城二丁目一九番一五号
商号
政岡商事株式会社
代表者
清算人 渡辺清
被告事件
法人税法違反
出席検察官
寺西輝泰
出席弁護人
渡部喬一
主文
1 被告人政岡商事株式会社を罰金一〇〇〇万円に処する。
2 訴訟費用中各証人に支給した分の二分の一ずつを被告人政岡商事株式会社の負担とする。
理由
(罰となるべき事実)
被告人政岡商事株式会社(以下被告会社という)は、東京都中央区日本橋二丁目二番地に本店を置き(ただし、昭和四四年一二月二〇日同都中央区銀座六丁目三番一八号に本店を移転したほか東京・大阪などに数度本店を移転し、現在肩書地に本店を置くもの)、金銭貸付仲介等の金融業を営む資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、昭和四九年六月二九日解散(同年七月二三日登記)により清算中のもの、相被告人政岡彌三郎は昭和三五年七月ころから被告会社の代表取締役(ただし昭和四八年一二月二四日退任の登記がある)として被告会社の業務全般を統轄掌理しているものであるが、相被告人政岡彌三郎は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、貸付利子収入、手形割引料および協力(導入)預金謝礼金収入の一部を除外して簿外預金を設定する等の方法により所得を秘匿したうえ、
第一、昭和四一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が別紙第一記載のとおり二三九九万四二三二円あつたのにかかわらず、昭和四二年二月二七日東京都中央区銀座東七丁目五番地所在所轄日本橋税務署において同税務署長に対し、所得金額が二八五万九六三三円でこれに対する法人税額が八〇万〇六八〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額八一八万七九〇〇円と右申告税額との差額七三八万七二二〇円を免れ、
第二、昭和四二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が別紙第二記載のとおり六四八一万五七〇八円あつたのにかかわらず、昭和四三年二月二八日前記所轄日本橋税務所において同税務署長に対し、所得金額が三〇四万三六一六円でこれに対する法人税額が八五万五〇〇〇円である旨の虚偽過少の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額二二四七万五二〇〇円と右申告税額との差額二一六二万〇二〇〇円を免れたもの(税額の算定は別紙第三記載のとおり)である。
(証拠の標目)
略語の説明等
以下の記載中(上)は上申書、(証)は証明書、(回)は回答書、(登)は登記簿謄本、(調)は大蔵事務官作成の調査書、(質)は大蔵事務官の質問てん末書、(検)は検察官に対する供述調書、(公)は当公判延における供述又は公判もしくは公判準備調書中の供述記載を示す。
なお、証拠書類については末尾かつこ内に検察官請求証拠目録の請求番号を、押収してある証拠物については押収番号(いずれも昭和四六年押第一七一七号)の符号を押何号として末尾かつこ内に示す。
判示事実全般につき
1 相被告人政岡彌三郎の(検)(乙15)
2 同相被告人の(質)一四通(乙1ないし乙14)
3 被告会社に関する(登)(甲一1)
4 法人税決定決議書綴(押67)
5 政岡敏夫の(検)(甲一3)、(質)(甲一2)
6 小坂二一郎の(検)二通(甲一4、5)
7 大日方正明の(検)(甲一7)
8 元帳四綴(押2)、伝票綴八綴(押3ないし押7)
判示別表第一、第二の当期増減金額につき
一、貸金利子収入、割引利子収入、協力預金謝礼金、預金利息につき、
(一) 全般につき、
1 各金融機関作成の(上)、(証)、又は書簡(甲一153ないし186)
2 大蔵事務官作成の銀行調査書(甲一187ないし218)
3 大橋勝也の受取利息(公表分)調査書(甲一220)
(二) 貸金利子収入、割引利子収入、協力預金謝礼金につき、
1 学校法人小松原学園関係
<1>小松原賢誉の(公)、<2>小松原賢誉の(上)(甲一40)、<3>高山増一の(公)、<4>高山増一の(質)(甲一43)、<5>小松原勲の(公)、<6>飯野享の(上)(甲一45)、<7>林新次の(質)(甲一46)、<8>遠藤昭三の(公)、<9>大橋勝也の(調)(甲一226)、<10>念書等一綴(押12)、<11>田中隆志作成の捜査報告書(甲一273)
2 丸紅製菓株式会社関係
<1>村田久雄の(質)二通(甲一80、81)、<2>樺島一幸の(質)(甲一82)、<3>政岡茂の(質)(甲一135)、<4>丸紅製菓に対する貸金明細一綴(押21)、<5>割引料その他利息計算書綴二綴(押22)、<6>政岡商事借入明細一袋(押23)、<7>総勘定元帳四綴(押33)、<8>割引料その他計算書綴七綴(押34)、<9>借入金勘定元帳一綴(押35)、<10>振替伝票二八綴(押36)、<11>遠藤昭三の送金関係調査書(甲一219)
3 江間寅太郎関係
<1>江間寅太郎の(質)二通(甲一116、117)
4 有限会社柿島別館関係
<1>柿島みちの(公)、<2>若林昭男の(公)、<3>川口磐の(公)、<4>松尾敏章の(公)、<5>総勘定元帳四綴(押68)、<6>総勘定元帳四綴(押69)
5 中部建材株式会社、中部総業株式会社関係
<1>町田鬼九治の(質)二通(甲一99、100)、<2>町田鬼九治の(上)(甲一101)、<3>木場田昱也の(質)(甲一102)、<4>木場田昱也の(上)(甲一103)
6 株式会社宝組関係
<1>興津龍平の(公)
7 株式会社石内家具センター関係
<1>石内寅一の(質)二通(甲一104、105)、<2>松尾敏章の貸付金受取利息等調査書(甲一244)
8 浅井鐘三関係
<1>浅井鐘三(公)、<2>伊藤慎の(質)(甲一75)、<3>(登)三通(甲一76ないし78)
9 石井丈人関係
<1>石井丈人(質)(甲一129)
10 金沢幸雄関係
<1>金沢幸雄(質)(甲一98)
11 株式会社熱海静観荘関係
<1>井手芳朗の(上)(甲一142)、<2>中沢和夫の(上)(甲一143)、<3>宇佐美鉄造の(上)(甲一144)
12 株式会社日本建設協会関係
<1>北村武文の(公)、<2>高橋七郎の(上)(甲一93)、<3>滝山隆の(公)、<4>山根勇市の(質)(甲一97)、<5>(登)三通(甲一94、95)
13 青原工業株式会社、東京圭素工業株式会社関係
<1>青原茂春の(公)、<2>馬場良一の不動産競売事件等調査書(甲一248)
14 合資会社天の川本舗関係
<1>山副博士の(公)、<2>岩井秋三郎の(上)(甲一150)
15 日東興産、辰己産業株式会社関係
<1>金伯宣の(質)(甲一123)、<2>高坂義郎の(上)(甲一152)
16 学校法人富士見丘学園関係
<1>小野ちえの(公)、<2>石川芳の(検)(甲一20)、<3>石川芳の(質)四通(甲一16ないし19)、<4>杉本清市の(公)、<5>天野信夫の(公)、<6>鈴木次郎の(上)二通(甲一29、30)、<7>熱海税務署政岡関係書類一袋(押24)、<8>政岡、小野のメモ帳控一袋(押25)、<9>当座小切手帳控二四冊(押37)、<10>当座小切手帳控八冊(押38)、<11>約束手形帳控三〇冊(押39ないし42)、<12>富士見丘学園敷地図面一枚(押43)、<13>約束手形帳控六冊(押44ないし46)、<14>小切手控一綴(押47)、<15>当座小切手帳控一冊(押48)、<16>現金出納帳三冊(49)、<17>手形記入帳一綴(押50)、<18>銀行勘定帳一綴(押51)、<19>承諾書四通(押52)、<20>確約書一通(押53)、預り証等十二枚(押54)
17 伊丹順三関係
<1>伊丹順三の(公)、<2>伊丹みさの(公)、<3>伊丹みさの(質)(甲一113)、<4>渡辺統意の(質)(甲一115)
18 小沢ハル関係
<1>小沢ハルの(質)(甲一112)
19 稲葉材木店関係
<1>稲葉昇の(公)、<2>若林昭男の(公)
20 大津建設工業株式会社関係
<1>大津一二三の(質)(甲一119)、<2>鈴木四郎の(上)(甲一147)
21 合資会社伊豆石材関係
<1>遠藤暎一の(質)(甲一120)、<2>遠藤暎一の(上)(甲一121)、<2>小川原己三男の(質)(甲一122)
22 株式会社大阪リネンサプライ関係
<1>若林幸吉の(上)(甲一145)
23 株式会社志塚組関係
<1>志塚和代の(質)(甲一111)
24 トキワ機械製作関係
<1>星野新吉の(上)(甲一146)
25 合資会社木下商店関係
<1>石川喜久造の(公)、<2>預り書一袋(押60)、<3>計算メモ一袋(押61)、約束手形の耳一袋(押62)
26 平塚理容株式会社関係
<1>桜井芳朗の(質)(甲一126)
27 伊豆開発関係
<1>松下三佐男の(公)
28 竹春建材関係
<1>大日方正明の(質)(甲一6)、<2>山田春夫の(質)二通(甲一109、110)、<3>割引手形記入帳一冊(押26)、<4>手形受払帳一冊(押27)、<5>金銭出納帳一綴(押28)、<6>補助簿一綴(押29)、<7>日本橋税務署調査書類一袋(押66)
29 日正興業関係
<1>荒木一作の(公)、<2>浅井鐘三の(公)、<3>伊藤慎の(質)(甲一75)、<4>(登)一〇通(甲一61ないし70)、<5>(登)三通(甲一78)、<6>馬場良一の日正興業貸付不渡手形等(調)(甲一247)、<7>相被告人政岡彌三郎の(質)(乙10)
30 甲府陸送株式会社関係
<1>武井昭三の(公)、<2>込山克平の(質)(甲54)、<3>五味和男の(質)(甲一55)、<4>相被告人政岡彌三郎の(質)(乙7)、<5>約束手形控一袋(押64)
31 京和商事株式会社関係
<1>関口勉の(上)(甲一151)
32 株式会社高砂商会関係
<1>計算書一袋(押55)、<2>計算書一枚(押56)
33 綾野裕理関係
<1>綾野友文の(上)(甲一10)
34 不二屋製菓株式会社関係
<1>鈴木勲の(上)(甲一148)
35 不二興業関係
<1>谷島清の(質)(甲一118)
36 大館組関係
<1>高橋久雄の(質)(甲一274)
(三) 預金利息につき
<1>遠藤昭三の簿外預金調査合計表(甲一220)、<2>遠藤昭三の簿外銀行預金受取利息調査合計表(甲一221)、<3>遠藤昭三の簿外定期預金の資金源及び解約金のてん末調査書(甲一224)
一、受取賃貸料、雑収入につき
1 青原茂春の(公)
2 馬場良一の受取賃料調査書(甲一271)
3 馬場良一の雑収入調査書(甲一270)
一、公租公課につき
1 遠藤昭三の未払事業税調査書(甲一272、ただし昭和四一事業年度分)
一、支払利息につき
1 遠藤昭三の簿外銀行借入金調査合計表(甲一223)
2 遠藤昭三の簿外銀行借入金支払利息調査合計表(甲一225)
一、寄付金について
1 松木律の(上)(甲一15)
2 諏訪操の(質)(甲一32)、(上)(甲一33)
3 政岡育英会決算書等一袋(押20)
4 相被告人政岡彌三郎の(質)(乙14)
一、雑費について
1 相被告人政岡彌三郎の(質)(乙5)
一、不動産譲渡損につき
1 綾野友文の(検)(甲一9)、(質)(甲一8)
2 角橋安正の(検)謄本(甲一12)(回)(甲一11)
3 (登)(甲一14)
4 遠藤昭三の(公)
5 遠藤昭三の昭和四九年三月二〇日付(上)
一、貸倒金につき
1 竹田忠雄の(公)
2 高田哲夫の(公)
3 松本尚の(質)二通(甲一90、91)
4 市川定雄の(質)二通(甲一131、132)
5 町田鬼九治の(質)二通(甲一99、100)
6 町田鬼九治の(上)(甲一101)
7 木場田昱也の(質)(甲一102)、(上)(甲一103)
8 川村徳治郎の(質)(甲一124)、(上)(甲一125)
9 尾崎フミ子の(公)
10 (登)七通(甲一133、134、137ないし141)
11 松尾敏章の貸付金残高貸倒否認(調)三通(甲一266ないし268)
一、債権償却引当損につき
1 荒木一作の(公)
2 (登)一〇通(甲一61ないし70)
3 松尾敏章の鉱泉売却益調査書(甲一239)
4 柿島みちの(公)
5 遠藤昭三の債権償却特別勘定調査書(甲一269)
6 山口吉次郎の(質)(甲一49)
7 (登)二通(甲一50、51)
8 矢島太一の(公)
9 橋本成桂の(公)
(事実認定について)
一、協力預金謝礼金、預金利息の帰属について
(一) 弁護人の主張
協力預金謝礼金収入(判示別紙第一の<3>、同第二の<3>)および預金利息(判示別紙第一の<4>、同第二の<4>)はすべて相被告人政岡彌三郎個人に帰属するもので、被告会社に帰属するものではない。
(二) 当裁判所の判断
1 (イ)被告会社の登記簿謄本(甲一1)、被告会社代表取締役政岡武作名義の昭和三五年四月一五日付貸金業届出書写、相被告人政岡彌三郎作成名義の昭和三一年一月二七日付貸金業届出書写、昭和三五年一月一九日付相被告人政岡彌三郎作成の「念書」写、鈴木東海の証人尋問速記録謄本、相被告人政岡彌三郎の検察官に対する昭和四一年一月三一日付供述調書謄本(乙16)、その他の前掲関係証拠を総合すれば、相被告人政岡彌三郎は昭和三一年一月二七日付で個人の貸金業届出書を東京都知事に提出し貸金業を営んでいたが、被告会社はこれとは別個に被告人の二男政岡武が代表取締役になつて昭和三五年一月一九日発足した貸金業等の金融業を営業目的とする会社であるけれども、その資本金の全ておよびその後の事業資金のほとんどは相被告人政岡彌三郎が提供し同相被告人から貸金債権や不動産を引き継いだものであり、政岡武が昭和三五年六月一五日急逝してからは相被告人政岡彌三郎が被告会社の代表取締役となつて名実共に被告会社の事業全般を主宰するに至つたので、右時点以降は相被告人政岡彌三郎と被告会社との二本建で貸金業を営まねばならない合理的理由がなくなつたと認められる。(ロ)他方、協力預金謝礼金が相被告人政岡彌三郎個人に帰属するとすれば、同相被告人は所得税の確定申告の際に事業所得を計上しなければならない筋合であるが、相被告人政岡彌三郎は昭和四一年、同四二年分の各所得税確定申告書(前同押号の71、72)において、昭和四一年分には給与所得二四〇万円、昭和四二年分には給与所得一五〇万円を計上しているのみで一切事業所得を計上していない(相被告人政岡彌三郎は昭和四一年分については日正興業に対して二〇〇〇万円、錦田農協に対して四七〇〇万円、昭和四二年分については甲府陸送(株)に対し七〇〇万円、有限会社柿島別館に対し三五〇万円、学校法人富士見学園に対し七二〇万円のそれぞれ貸倒損があつたので、事業所得がなく申告する必要がなかつた旨供述している-同相被告人に対する大蔵事務官の昭和四四年一月一七日付質問てん末書(乙1)問八-けれども、このうち、日正興業、甲府陸送(株)、有限会社柿島別館、学校法人富士見丘学園は被告会社がその公表決算書上も自己の取引先として、被告会社が受け取つた不渡手形あるいは貸倒金として計上している(前同押号の67法人税決定決議書綴中の昭和四一年、同四二年分の被告会社の法人税確定申告書およびその添付の決算書類)ところであるし、錦田農協に対する四七〇〇万円については昭和四一年、同四二年の貸倒れとして計上できないものであることは、鈴木次郎作成の「政岡彌三郎氏との取引について」(甲一29)、「政岡彌三郎関係預金の支払状況について」(甲一30)と題する各上申書、石上舜而に対する大蔵事務官の質問てん末書(甲一34)、石上舜而作成の「学校法人富士見丘学園の債務処理に関する政岡彌三郎との契約について」(甲一35)と題する上申書、相被告人政岡彌三郎に対する大蔵事務官の昭和四四年四月一九日付質問てん末書(乙3)問五の記載によつて明らかであり、いずれも相被告人政岡彌三郎が自己の昭和四一年、同四二年の貸倒金として計上できないものである。)(ハ)ところで、協力預金(導入預金ともいわれる)はこれを経済的に観察すれば預金者の金融機関を媒介とする被融資者に対する融資であり、被融資者から預金者に支払われる協力預金謝礼金は実質的には預金に対する裏金利であつて、本件の協力預金による謝礼金収入の獲得は金融事業の一端に他ならない。(ニ)相被告人政岡彌三郎は本件の普通預金について、「政岡商事としての貸付金、受取利息の受入れ、割引手形の取立口座、導入預金謝礼金の受入れ、貸付けのための払出し、割引のための払出し、導入預金設定のための払出し等のため利用していたもの」で「この口座の取引が全部裏取引となつているわけではなく」「実際に金を貸したり、割引いたりしてやる時は、その金が表の金か裏の金かの区分を明確にしていたわけではなく、或る貸付を表にして出納帳が赤字になれば社長借入金を建てて帳簿上合わせていたのが実状で」「表も裏もなく運用して決算の時辻つまを合せていた」と述べ(同相被告人に対する昭和四四年一〇月二八日付大蔵事務官の質問てん末書(乙6)問三五)また定期預金については「大部分は協力預金の目的で設定したものです」と述べ(同てん末書問三七)、これらの預金を一体となつた一個の資金源として金融事業のために使つていたことが認められる。
2 右に認められる各事実を総合すれば、相被告人政岡彌三郎が被告会社の代表取締役となつて以降の金融事業はすべて被告会社の業務として行われたものであり、本件の協力預金はいずれも相被告人政岡彌三郎が被告会社の業務として行つたものと認めるのが相当である。そうだとすれば本件で認定される協力預金謝礼金ならびにその預金利息はすべて被告会社に帰属するといわなければならない。なお、普通預金、通知預金等の預金利息についても、これが被告会社の事業活動によるものである以上、被告会社に帰属することは言うまでもない。
二、その他の数額上の主張について
弁護人は富士見丘学園に対する協力預金謝礼金、貸付金利子収入をはじめとして、各貸付金利子収入、協力預金謝礼金収入の数額その他の勘定科目について独自の数額を上げて争つているけれども、これらの各勘定科目についていずれも関係証人の供述その他の前掲証拠によつて判示別紙第一、第二の各勘定科目の数額を認めることができるからこの点に関する弁護人の主張は理由がないというほかない。
(法令の適用)
1 適用罰条
法人税法一五九条、一六四条一項
2 併合加重
刑法四五条前段、四八条二項
3 訴訟費用の負担
刑事訴訟法一八一条一項本文
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 池田真一)
別紙第一
修正損益計算書
政岡商事株式会社
自 昭和41年1月9日
至 昭和41年12月31日
<省略>
別紙第二
修正損益計算書
政岡商事株式会社
自 昭和42年1月1日
至 昭和42年12月31日
<省略>
別紙第三
法人税額計算書
<省略>